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機能別戦略 4/6

👥 人事戦略
—— 戦略を実行できる人を採り、育て、報いる

戦略を実行するのは結局「人」です。採用・育成・評価・定着がバラバラだと、良い戦略も現場で止まります。小さな会社ほど1人の影響が大きい——だからこそ人事は戦略で考えます。

いつ決める?何を決める?

順番事業戦略の後。他の機能別戦略(マーケ・営業・製造)の施策が決まると「誰が・どんなスキルで実行するのか」という人の要件が定まるため、他機能とすり合わせながら決めます。
タイミング毎期、育成計画と評価項目を更新。面談は月1回〜四半期に1回。評価・処遇の改定は年1回
決めること①求める人材像 ②採用の方法 ③育成計画(スキルマップ) ④評価・処遇(戦略との連動) ⑤定着の仕組み
KPIの例定着率(1年後在籍)、スキルマップ充足率、面談実施率、社長しかできない業務の数

進め方:5つの作業

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「求める人材像」を戦略から定義する

「いい人が欲しい」では採用も育成もできません。差別化の軸→必要な行動→求める人物の順で具体化します。

差別化の軸必要な行動求める人材像
図面段階からのVE提案顧客図面の意図を読み取り、加工しやすい改善案を提案する図面が読めて、顧客と対話できる技術者(営業経験より重要)
ミクロン精度の品質手順を正確に守り、異常に気づいたら即座に報告・記録する丁寧さと正直さ。スピードより正確さを優先できる人
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採用:小さな会社の戦い方

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育成:スキルマップで「見て覚えろ」をやめる

縦にスタッフ名、横に業務(店舗業ならレジ・接客・仕込み、製造業なら段取り・加工・測定・検査…)を並べた表を作り、◎(教えられる)/○(できる)/△(習い中)/空欄(未着手)で埋めます。これだけで3つのことが起きます。

H-3'

知識だけでなく「判断」を残す —— 組織OSの発想

スキルマップと手順書は「作業」を継承します。しかし本当に失われて困るのは、ベテランの「判断」——この案件は受けるべきか、この異常は止めるべきか、この客にどこまで譲るか——のほうです。

始め方:全社を一度にやろうとすると必ず頓挫します。属人化が最も痛い業務を1つだけ選び、3か月だけ判断ログを取ってみてください。それだけで「なんとなく決めていたこと」が言葉になり、教育と権限委譲が一気に進みます。→ 全体像は横断戦略(ナレッジマネジメント)
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評価・処遇:戦略上の行動を評価項目に入れる

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定着:辞めない職場は仕組みで作る

記入サンプル:ミナト精工の人事戦略

ミナト精工の例(従業員180名:うち製造120名・技能者の平均年齢52歳)

  • 人材像:技術営業は「図面が読めて対話できる人」、製造は「精度に誠実な人」と定義し、採用・配置・評価をこれに揃える
  • スキルマップ:製造120名×主要30工程で作成。「◎(教えられる)が1人しかいない工程」が9つと判明 → 年3工程ずつ複数名化する承継計画に
  • 技能承継:熟練者の段取り・測定を動画マニュアル化し、若手とのペア作業(OJT)とセットで運用
  • 採用:高専・工業高校との連携と職場見学会(年4回)。採用サイトに戦略(試作から量産までを支える仕事)を明記し、技能職を年5名採用
  • 評価:技能等級(スキルマップ連動)に加え、改善提案・VE貢献を評価項目に追加して賞与に反映
  • KPI:重要工程の複数名対応化 60%→80%/技能職採用 年5名/入社3年以内の離職率 15%→8%

よくある失敗と対策

人事でつまずくパターン

「人が採れない」と嘆くだけで、求人票が仕事内容と給与の羅列のまま
求人票に「何のための仕事か(戦略)」を書く。紹介の仕組みを作る。採用は募集ではなく設計の問題。
評価が社長の気分・好き嫌いに見えてしまい、不満の温床になる
評価項目を5個に明文化し、面談で本人と確認する。「何をすれば上がるか」が言えれば納得感は生まれる。
教育が「見て覚えろ」で、できる人とできない人の差が開く
スキルマップと手順書(生産戦略P-2)をセットで整備し、「誰が・何を・いつまでに」の育成計画にする。
社長にしかできない仕事が増え続け、社長が休めない
「社長のみ◎」の業務数をKPIにして毎期減らす。技能移転は忙しさに関係なく週次の枠で強制的に進める。

人事戦略チェックリスト

  • 求める人材像が「差別化の軸→必要な行動」から定義されている
  • 求人票に「何のための仕事か」が書かれている
  • スキルマップがあり、属人化業務(社長のみ◎)が見えている
  • 評価項目(5個まで)が戦略上の行動と連動している
  • 評価が処遇(給与・賞与)と面談につながっている
  • 新人の初日設計と月1面談の仕組みがある
↑ 機能別戦略の全体像