コラム
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この宇宙の定数

光の速さ、重力の強さ、電気の最小量――この宇宙には“理由は分からないのに決まっている数”がある。 しかも、ほんの少し違えば宇宙も生命も存在しなかった。その不思議をのぞいてみよう。

ひとことで:この宇宙には、理由は分からないのに“ピタッと決まっている”数がある。

光の速さ、重力の強さ、電気の最小量…。これらは理論で計算して出てくるのではなく、 測って当てはめるしかない「自然界の設定値」。それが宇宙の定数だよ。

「ゲームでいう“最初から決まっているパラメータ”みたいなもの。 なぜその値なのかは、じつはまだ誰にも分からない。でも、ほんの少し違うだけで宇宙はガラッと変わるんだ。」

① 定数ってなに?

理論では決められない“設定値”

物理の法則(式)は、世界のふるまい方を教えてくれる。でも式の中に出てくる「光の速さ」や「重力の強さ」が いくつなのかは、式からは出てこない。実験で測って入れるしかない。この“測って決める数”が基本定数だ。

② おもな基本定数

宇宙の“設定一覧”

光速 c

30万 km/秒。情報や光が出せる“最高速度”。時間と空間を結ぶ基準でもある。

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重力定数 G

重力の強さを決める数。とても小さく、重力が4つの力で最弱な理由のひとつ。

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プランク定数 h

エネルギーの最小のかたまりを決める、量子の世界の基準(E=h×振動数)。

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電気素量 e

電気の最小単位。電子1個がもつ電気の量。これ以下の電気は(基本的に)存在しない。

🎯

微細構造定数 α ≈ 1/137

電磁気力の強さを表す“単位のない数”。なぜ1/137なのか――物理最大級の謎のひとつ。

🌡️

ボルツマン定数 k

温度とエネルギーを結ぶ数。「熱さ」がミクロな粒子の運動エネルギーだと教えてくれる。

③ じつは“手で入れる”数が約20個

標準模型も、定数だらけ

世界をほぼ説明できる標準模型でさえ、粒子の質量や力の強さなど 約20個の数値を、理論ではなく実測で埋めている。なぜその値なのかは説明できていない。 「式は完成に近いのに、肝心の“数”の理由は分からない」――それが今の物理の正直なところだ。
④ ほんの少し違えば、宇宙は無かった?

きわどい“微調整”

おどろくことに、これらの定数がほんの数%ずれるだけで、星も原子も生命も生まれない宇宙になってしまう、と考えられている。

強い力が少し違えば

陽子や原子核がうまく作れず、炭素や酸素ができない。生命の材料が存在しない。

💨

ダークエネルギーが少し強ければ

宇宙が速く膨張しすぎて、銀河も星も集まれない(→宇宙の95%)。

🧲

α が少し違えば

化学結合や星の燃え方が変わり、安定した物質や太陽が成り立たなくなる。

この“ちょうど良すぎる”感じを、宇宙の微調整(ファインチューニング)問題と呼ぶ。

⑤ なぜ、この値なのか?

3つの考え方

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たまたま

深い理由はなく、ただの偶然という立場。ただ「きわどさ」を偶然で片づけるのは苦しい、という声も。

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人間原理+マルチバース

定数の違う宇宙が無数にあり、たまたま生命が生まれられた宇宙に私たちがいるから観測できる、という考え(→パラレルワールド)。

🧩

まだ知らない理論が決めている

もっと根本の理論(超弦理論など)が、定数の値を必然的に導く――そんな“最終理論”を探している。

宇宙の定数は、「測れば分かるのに、なぜその値かは分からない」不思議な数たち。 しかもどれも、生命が生まれるのにちょうど良い。偶然か、選ばれた結果か、未知の理論のしわざか――物理の最前線の問いだよ。