量子力学は、たくさんの科学者たちのアイデアと挑戦の積み重ねで生まれた。 量子のふしぎに挑んできた、勇者たちの物語をたどろう。
マックス・プランク
「エネルギーは連続ではなく、飛び飛びの値しかとれないのでは?」
黒体放射という実験の謎を説明するため、エネルギーが「量子化」されているという考えを提案。すべての始まり。
量子化(エネルギーは飛び飛び)アルベルト・アインシュタイン
「光は波だけじゃない! 粒子(光子)としても振る舞うのだ!」
光電効果を説明するため、光がエネルギーの粒(光子)として振る舞うと提案。光は波でも粒でもある。
光子・二重性ニールス・ボーア
「電子は決まった“飛び飛びの軌道”だけを回るんだ!」
水素原子のスペクトルを説明するため、電子が特定の軌道(エネルギー準位)しかとれないとする模型を提案。
飛び飛びの軌道・エネルギー準位ヴェルナー・ハイゼンベルク
「観測できる量だけを使って、量子の世界を記述しよう!」
観測可能な量を「行列」で表すことで量子の振る舞いを記述する、最初の本格的な量子力学理論。
行列・観測量・量子力学の始まりエルヴィン・シュレーディンガー
「電子は波のように広がって存在している。その波の動きを方程式で表せるはずだ!」
電子などの粒子を「波」として記述する理論。シュレーディンガー方程式 iℏ ∂ψ/∂t = Ĥψ は、現在の量子力学の標準的な形のひとつ。
波動関数・確率的解釈・基本方程式ボーア、ハイゼンベルク ら
「観測されるまで、粒子は複数の状態の可能性をすべて持つ。観測された瞬間、一つの状態に決まるのだ。」
量子の状態は観測されるまで決まらず、観測によって初めて確定するとする解釈。教科書でもっとも広く使われている考え方。
重ね合わせ・観測問題・確率解釈アインシュタイン、ポドルスキー、ローゼン
「量子力学は完結していない! “量子もつれ”には、何か見えない隠れた情報があるはずだ!」
遠く離れた2つの粒子の関係(量子もつれ)はおかしいと主張し、「隠れた変数理論」を提案。ここから量子もつれの研究が本格化する。
EPRパラドックス・量子もつれの出発点リチャード・ファインマン ら
電子と光子の相互作用(電磁気力)を、非常に高い精度で計算できる理論が完成。相互作用を「ファインマン図」で表す。理論と実験の一致は10桁以上、現代物理学で最も精度の高い理論。
ファインマン図・最高精度の理論ジョン・ベル
量子もつれは「局所的な隠れた変数理論」では説明できないことを証明(ベルの不等式)。後のアスペ実験などで、量子力学の予測が正しいことが確認され、「ふしぎな量子の世界」が本物だと確立した。
ベルの不等式・量子の世界の確立自然界のすべての素粒子と、その相互作用(電磁気力・弱い力・強い力)を統一的に記述する理論。フェルミオン(物質粒子)とボソン(力を伝える粒子)で世界を説明する、現在の素粒子物理学の“完成形”。ただし重力はまだ含まれていない。
フェルミオン・ボソン・力の統一ベッケンシュタイン、ホーキング ら
ブラックホールが「熱」と「エントロピー(情報の量)」をもつことが判明。エントロピー S は事象の地平面の面積 A に比例(S = k_B A / 4ℓ_P²)。重力・量子・熱力学がつながり、「ブラックホール情報問題」が誕生した。
エントロピー・ホーキング放射「点の粒子」ではなく「ひも(弦)」が基本で、その振動のしかたで様々な粒子が生まれるという考え。閉じたひもの振動からは重力子(グラビトン)も自然に出てくる。重力を含む“量子重力”理論の有力候補。
弦・量子重力の候補フアン・マルダセナ
ある重力理論(AdS時空)と、その境界上の量子場理論(CFT)が完全に等価という驚きの対応。「重力(時空)」が「量子情報」から生まれる可能性を示し、ブラックホール情報問題にも新しい光を当てた。
ホログラフィー・時空と情報