立体の出来事が、その“ふち”の情報だけで書けてしまう――まるでホログラム。時空そのものが量子もつれから生まれるかもしれない、現代物理の最前線です。
3次元の立体が2次元のフィルムに記録されるホログラムのように、時空は“より少ない次元の情報”の映像かもしれない。
重力のある中身(バルク)=ふちに書かれた量子情報。
① おどろきの“対応”ある空間(バルク)の重力をふくむ物理が、その境界(ふち)に住む、重力を含まない量子場理論と 完全に同じ内容になっている――これがホログラフィック原理。1997年にマルダセナが見つけた 具体例「AdS/CFT対応」が、その代表だ。立体の情報が、1つ低い次元の面にすべて書き込まれている、というイメージ。
② どこから来た?この対応は、超弦理論の研究の中から見つかった。 難しい重力の計算を、ふち側の解きやすい量子場の計算に置きかえられるため、ブラックホールや強く結びついた物質の研究に 強力な“翻訳機”として使われている。数学的な証拠が非常に多いのが特徴だ。
③ いちばん刺激的な含み厳密に証明されたわけではないが、無数の計算がぴたりと整合し、現代理論物理の共通言語になりつつある。 ただしマルダセナの例は反ドジッター時空(AdS)という、私たちの宇宙とは少しちがう設定。 本物の宇宙にどう当てはめるかは、これからの大きな課題だ。
ホログラフィック理論は、「立体は、ふちの情報で書ける」という驚きの対応。 時空そのものが量子もつれから生まれるかも――いま現代物理がいちばんワクワクしているフロンティアだよ。