「混ざったものは元に戻らない」――その“もどらなさ”の正体がエントロピー。量子のもつれや観測とつながり、時間の向きまで生み出すかもしれない不思議な量です。
コップの水に落としたインクは広がって混ざるけれど、ひとりでに1か所へ戻ったりしない。 この“もどらなさ”の正体がエントロピー。じつは量子のもつれや観測とも深くつながっているんだ。
「整った状態は数が少なく、散らかった状態は数がケタ違いに多い。 だからサイコロを振るように、自然は“ありふれた散らかり”へ転がっていくんだ。」
散らかった部屋になる並べ方は天文学的にたくさんあるけれど、きれいに整った並べ方はごくわずか。 だから偶然まかせなら、ほぼ確実に“散らかったほう”になる。エントロピーは、その「ありえる状態の数の多さ」を表す量だよ。
② 熱力学第二法則粒子どうしが相互作用すると量子もつれが次々と広がり、ある粒子の情報が まわり全体へ薄く拡散していく。これがデコヒーレンス(重ね合わせが見えなくなる現象)であり、 全体としてのエントロピー増大でもある。「観測でランダムに決まる」のと「乱雑さが増える」のは、地続きの話なんだ。
④ そして時間の矢へ物理の基本法則の多くは過去と未来を区別しない。それでも私たちが「時間は一方向に流れる」と感じるのは、 エントロピーが増える向きを“未来”と呼んでいるから――という考えがある。くわしくは 「時間は存在するのか」へ。
エントロピーは散らかり具合=ありえる状態の多さ。量子もつれの拡散とともに増え続け、 それが時間の向きまで生んでいるのかもしれない。ミクロのルールと、宇宙の大きな流れをつなぐ鍵だよ。