「世界は10次元」と言う超弦理論。では、見えない6次元はどこにある? その答えのカギをにぎる、ふしぎな“形”をのぞいてみよう。
超弦理論では、時空は10次元でないとつじつまが合わない。でも私たちが感じるのは3次元(+時間)だけ。 残り6次元は、どこにでも・とても小さく丸まって隠れている――その“丸め方の形”がカラビ・ヤウ多様体だよ。
「ホースを遠くから見ると“線”だけど、近づくと“ぐるっと回れる輪”があるよね。 それと同じで、空間のどの点にも、目に見えないほど小さな6次元の形がくっついているんだ。」
空間の各点に、極小のカラビ・ヤウ(6次元)が貼りついているイメージ。
① なぜ“余分な次元”が要る?弦の理論が矛盾なく成り立つには、空間が9次元+時間1次元=10次元必要になる (超弦理論参照)。私たちが3次元しか感じないのは、残り6次元が 原子よりはるかに小さく丸まって(コンパクト化)いて、見えないから、と考える。
② カラビ・ヤウ多様体とは数学者カラビが「こんな形があるはず」と予想し、ヤウ(丘成桐)が存在を証明した (その功績でフィールズ賞)。だからカラビ・ヤウ。
6次元のうち、超対称性を壊さずに残せる特別な幾何(リッチ平坦という性質)をもつ。 だから超弦理論の“折りたたみ先”に選ばれる。
ところが、可能なカラビ・ヤウの形(丸め方)は天文学的にたくさんあり、それぞれが別の物理法則・別の宇宙に対応してしまう (“弦理論のランドスケープ”、しばしば10の500乗とも)。どれが私たちの宇宙なのかを選ぶ原理はまだ無い。 これは「なぜ宇宙の定数がこの値なのか」やマルチバースの議論にも直結する。
⑤ いま、どこまで?カラビ・ヤウは数学(特に幾何学)に豊かな実りをもたらし、超弦理論の中心的な道具になっている。 一方で、余分な次元は小さすぎて直接は見えず、実験的な証拠はまだ無い。確かめる方法を探すことが、これからの大きな課題だ。
カラビ・ヤウ多様体は、超弦理論の“見えない6次元”を丸めて隠すための形。 その折りたたみ方が素粒子のすがたを決めるかもしれない――数学的に美しいけれど、どれが本物かはまだ謎の、最先端のアイデアだよ。