消えたのではなく、広がっていた
【量子力学】消えたのではなく、広がっていた
量子情報が消滅するという意味ではなく、量子状態に関する情報が環境の多数の自由度に分散していく。
気づいたこと
量子状態は、上向き・下向きのような確率の重なりだけでは説明できないと気づいた。 状態成分同士がどんな位相関係で重なっているかによって、後の干渉の仕方が変わってくる。 波でたとえると、山と山が重なれば強め合い、山と谷が重なれば打ち消し合うのと同じだと理解できた。
二重スリット実験で、電子がどちらのスリットを通ったかを測定すると、干渉が消えることを改めて整理した。 そこで消えているのは、人間が目で見たからではなく、経路の情報が物理的に区別可能な形で記録されたからだと確認できた。 測定装置が「左だった」「右だった」という情報を持てた時点で、電子と測定装置のあいだにもつれが生じている。
デコヒーレンスについて、情報が消えるわけではないと気づいた。 むしろ、量子状態に関する情報が、光子や空気分子など環境の多数の自由度に分散していくのだと理解した。 一度分散した情報は、理論上は復元できる可能性があっても、現実には把握しきれず、元に戻すことは難しい。
量子消しゴムの話から、過去の観測が魔法のようになかったことになるわけではないとわかった。 経路情報をどんな形で保持・測定するかによって、干渉として現れる相関を取り出せるかどうかが変わるだけだった。
途中で、デコヒーレンスとブロックチェーンが少し似ているのではという発想が出てきた。 情報を一箇所に閉じ込めず、周囲やネットワークに広げることで、ある状態が安定したものとして扱われるという点で、抽象的な類似性を感じた。
そこからさらに、客観的な現実とは、環境の中に多数の観測可能な痕跡を持つ情報なのではないかという問いに至った。 リンゴが机の上にあるとき、その情報は光や空気を通して周囲に広がっていき、多数の観測者が同じ情報を取得できるようになる。 これは量子ダーウィニズムの考え方ともつながっていた。
まとまったこと
- 量子状態は確率(振幅の大きさ)だけでなく、状態成分同士の位相関係によっても決まる
- 干渉縞が消えるかどうかは、経路情報が物理的に区別可能な形で残るかどうかで決まる。見る主体は関係ない
- デコヒーレンスは情報の消滅ではなく、情報が環境の多数の自由度に分散していくこと
- 量子消しゴムは過去を書き換えるのではなく、情報の扱い方によって隠れていた相関を取り出す
- デコヒーレンスとブロックチェーンには、情報を分散させることで状態を安定させるという抽象的な類似性がある
- 客観的な現実は、環境に残された情報の痕跡が多数の観測者から参照できる状態として現れているのかもしれない
まだ言葉になっていないこと
- デコヒーレンスと波動関数の収縮は、本当に何が違うのか
- 観測者は量子力学に本当に必要なのか
- 量子ダーウィニズムでは、どのように「客観的な現実」が生まれるのか
- 現実とは、何かが存在することなのか、それとも情報が世界の中に安定して記録され、参照できるようになった状態なのか
関連ノート
- 【量子力学】経路が残るかどうか、それだけ — 二重スリットと経路情報についての最初の気づきの回。位相・もつれ・EPRパラドックスは当時「まだ言葉になっていないこと」として残っていたが、今回はそこに踏み込んだ
- 【量子力学】変わったのではなく、隠れていた — 量子もつれと量子消しゴムを深掘りした回。今回はそこに位相の数式的な整理と、量子ダーウィニズム・情報と現実の関係という問いを重ねた
元の対話
- 量子の重ね合わせ・位相・干渉・もつれ・デコヒーレンス