新皮質は、理性の脳ではなかった
【生物】新皮質は、理性の脳ではなかった
感情と理性は、完全に分離していない。
気づいたこと
脳の進化、特に新皮質が大きくなったという話に関心を持った。 新皮質、とりわけ前頭前野が発達することで、計画・抑制・柔軟な思考・注意・文脈理解といった人間らしい能力が生まれたのだと最初は理解した。
そこから、感情はどこから来るのかという疑問に進んだ。 扁桃体などの原始的な脳領域が関係していると知り、本能的・感情的な部分を新皮質が統制する、という二層構造のイメージを一度は持った。
でも、それは修正が入った。 完全に二つに分離しているわけではなく、感情と認知は相互に影響し合っている。 新皮質は単純に「感情を支配する司令塔」ではなく、感覚・記憶・感情などの情報を統合し、状況に応じて行動を調整するネットワークの一部として捉える必要がある、という理解に変わった。
進化についても、新皮質は単純に大きくなっただけではないと分かった。 連合野の発達や、脳内の領域同士のつながり・情報統合が重要で、「脳が大きくなった」というより「複雑な情報を統合し、調整する能力が高度化した」と捉える方が近い。
ここから問いが一段深くなった。 電気信号と神経伝達物質のやり取りしかない脳から、なぜ「私は今ここにいる」という主観的な体験が生まれるのか。 自分が見ている世界も、外界がそのまま入ってくるのではなく、感覚器官・神経活動・脳による統合と解釈を経て構成されているのではないか、という考えに至った。 脳は受け取った情報を処理するだけでなく、「おそらくこうなっているはず」という予測を持ち、実際の情報とのズレを修正しているという見方にも触れた。
さらに視点を広げると、脳を構成する物質をミクロに見ていけば量子力学的な世界に行き着き、マクロには脳・身体・自分・他者・世界という豊かな現実がある。 量子のようなミクロな世界から、どうやって今のマクロな世界や「私」という主観的な存在につながっているのか、という不思議さを感じた。 この問いには今回は答えを出さず、不思議なものとして一旦そのまま置いておくところで終わった。
まとまったこと
- 新皮質は「理性の脳」ではなく、感覚・記憶・感情を統合し行動を調整するネットワークの一部
- 感情と理性は完全に分離した二層構造ではなく、相互作用している
- 人間の高度な能力は脳の大きさではなく、情報を統合・調整する能力の発達で説明できる
- 脳は外界をそのままコピーせず、情報を統合・解釈して「世界」を構成している
- その世界を経験している「私」も、脳が構成しているものかもしれない
まだ言葉になっていないこと
- なぜ脳の物理的活動から主観的な体験が生じるのか
- なぜ「私は今ここにいる」という自己感覚が生まれるのか
- ミクロな物理現象から、脳・意識・主観的世界というマクロな現象がどう成立するのか
- 量子力学と意識には本当に直接的な関係があるのか
関連ノート
- 【知的生産】自己と意識は、同じではなかった — 同じ問いを、千の脳理論や意識の理論から掘り下げた回
元の対話
- 脳の進化と「私がここにいる」という意識