経路が残るかどうか、それだけ
干渉縞を消すのは人間の意識ではなく、経路の情報が残るかどうかだった。
気づいたこと
二重スリットの話をずっと誤解していた。 「人間が見ると電子の振る舞いが変わる」という説明を、そのまま受け取っていた。 意識が物理に触れているようで、どこか居心地が悪かった。
実際には、意識は関係なかった。 問題は、どちらの穴を通ったかという経路の情報が世界のどこかに残るかだった。 残れば干渉縞は消え、残らなければ現れる。見る主体ではなく、情報の行方の話だった。
干渉しているのも、確率ではなく波動関数のほうだった。 山と山が重なれば強め合い、山と谷なら打ち消し合う。 確率が干渉するのだと思っていたが、それだと符号の打ち消しが起きない。ここは順番が逆だった。
では電子は本当に両方の穴を通っているのか。 ここから先は、まだ誰も決着をつけていない。 コペンハーゲン解釈も、多世界解釈も、ボーム力学も、同じ実験結果を説明できてしまう。 式が同じで、意味だけが違う。
そして今日いちばん腑に落ちたのは、この一文だった。
量子力学は、計算方法はほぼ完成している。けれど「世界が実際にどうなっているか」は、今も議論中。
答えが出ていないのではなく、答えを選べていない。 物理学がそういう状態のまま100年動いていることのほうが、実験結果より驚きだった。
デコヒーレンスの説明も効いた。 周囲の環境と情報をやりとりすると重ね合わせが壊れ、波らしさが見えなくなる。 量子コンピュータが極低温で、ノイズを極端に嫌う理由もここにあった。 あれは「全部を同時に計算する」機械ではなく、干渉で正解を強め、間違いを打ち消す機械だった。
まとまったこと
- 電子は粒として観測されるが、観測前は波動関数として振る舞う
- 干渉するのは確率ではなく波動関数
- 観測すると状態が確定し、その後ふたたび量子状態として広がる
- 干渉縞が現れる条件は「経路情報が残らないこと」
- 「電子は実際どう存在しているのか」は未解決のまま
まだ言葉になっていないこと
- シュレーディンガー方程式と、波動関数が時間発展する仕組み
- 位相とは何か。ボルン則はなぜ二乗すると確率になるのか
- ベルの不等式とアインシュタインの反論、EPRパラドックス、量子もつれ
- 量子コンピュータは干渉を具体的にどう使っているのか
関連ノート
- なぜ世界は釣り合っているのか
元の対話
- Archive/対話ログ/量子力学における観測問題と波動関数