計算より、入れる数字のほうが難しい
本質は期待値の計算ではなく、確率と収支をどれだけ正確に見積もれるかにある。
気づいたこと
デシジョンツリーは、選択肢とその先に起こりうる未来を木構造で描く。 期待値は、Σ(確率 × 収支)で、その選択肢が平均的にどれだけの価値を持つかを出す。 手法としては、どちらもすぐ使えるくらい単純だった。
単純すぎて、最初は物足りなかった。 けれど何度か当てはめてみて、難しさの在り処が違うと分かった。
計算式は誰がやっても同じ答えを出す。 違いが出るのは、そこへ入れる確率と収支のほうだった。 成功確率を30%と置くか50%と置くかで結論はひっくり返る。 そしてその数字には、いつも根拠がない。あるのは感覚と、少しの経験だけ。
つまり期待値計算は、判断を自動化する道具ではなかった。 自分がどんな前提で世界を見ているかを、数字の形で外に出す道具だった。 出してしまえば、他人と議論できる。ここが本当の効用だった。
デシジョンツリーは「未来の可能性を整理する地図」で、期待値は「各選択肢の価値を測るものさし」。 地図とものさしがあっても、歩くかどうかは別に決めないといけない。
企業経営でいえば、限られた人・モノ・金・時間を、企業価値がいちばん高まる先へ配分すること。 そのために、シナリオを整理し、確率を見積もり、収支を試算し、期待値を出す。 そのうえでリスクを評価し、長期戦略と噛み合っているかを確かめる。 期待値が最大の選択肢が、いつも正解とは限らない。
まとまったこと
意思決定の流れ:
- デシジョンツリーでシナリオを整理する
- 各シナリオの確率を推定する
- 各シナリオの収支を試算する
- 期待値を計算する(Σ 確率 × 収支)
- リスクを評価する
- 長期戦略との整合性を確認する
周辺のキーワード — シナリオ分析 / リスク分析 / 意思決定分析 / リアルオプション / ベイズ更新 / 確率思考
まだ言葉になっていないこと
- 確率推定の精度を、どうやって上げるか
- リアルオプション思考を、日々の投資・事業判断にどう組み込むか
関連ノート
- AIを使うから、AIと経営するへ
- 提案営業の新しいフレームワーク(外部環境起点)
- 知識ではなく、判断を残す
- 持っているだけでは、価値にならない
元の対話
- Archive/対話ログ/デシジョンツリーと期待値による意思決定