ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)は、思考や感情を「コントロール」するのではなく、受け入れながら価値観に沿って動く——「心理的柔軟性」を高める考え方です。
私たちはつい、不快な感情を「なくそう」「抑えよう」とします。けれど、感情はコントロールしようとするほど強く返ってくることがあります(ビーチボールを水中に沈めるほど反発するように)。
ACTが目指すのは、感情を消すことではありません。感情はそのままに、自分が本当に大切にしたい方向(価値)へ向かって行動できる状態——これを「心理的柔軟性」と呼びます。その柔軟性は、次の6つの原理で育てていきます。
思考を「事実」ではなく、単なる言葉やイメージとして切り離す。「私はダメだ」を「"私はダメだ"という考えが浮かんだ」と捉え直す。
ネガティブな感情を抑圧せず、心の中に居場所を作る。戦うのをやめ、ただそこに在らせておく。
過去の後悔や未来の不安ではなく、いま実際に起きている体験に注意を戻す。
思考や感情を客観的に見つめる「揺るぎない自己」を意識する。感情は移り変わっても、それを眺めている自分は変わらない。
自分の人生で本当に大切な「方向性」を明確にする。どんな人でありたいか、何を大切にしたいか。
価値観に沿った行動を、感情がどうであれ、継続的にとり続ける。小さな一歩でよい。
6原理のうち、①脱フュージョン・②受容・③今この瞬間・④観察する自己は、まさにマインドフルネスの実践そのものです。一方、⑤価値観・⑥行動は「気づいた先で、どう生きるか」を扱います。
マインドフルネスは「観察する力」、ACTは「その力で、価値に沿って動く」までを含む枠組み。
気づいて終わりではなく、大切な方向へ一歩を踏み出すところまでが、ACTの目指すゴールです。